October 06 2012
栗をむくいつしか星の中にをり
喜田進次
栗があまり好きではない。子供の頃延々と栗剥きの手伝いをさせられたからだけでなく、ほの甘さとぼそっとした食感がどうも苦手だ。中華街によく行くけれど、唯一いやなところは、おいしいよ、と言いながら天津甘栗を食べさせようとするところだ。それが今月、二つの句会で「栗」が兼題となり困ったなと思いつつ、とても惹かれた栗の句があったことを思い出した、それが掲出句である。句集拝読の折、秋になったら、と栞を挟んでおいたのだった。読み進めていて、いろいろな意味でふっと立ち止まった一句である。栗から星は、殻や甘皮が散らかって、むかれた栗もまるまるところがって、その中にいることからの発想かもしれない。栗をむくことと星の中にいること、突然時空を超えてしまったかのような飛び方なのだが、それを、いつしか、がつなぐともなく優しくつないで自然な広がりを与えている。これからも毎秋かならず思い出すであろう一句。『進次』(2012)所収。(今井肖子)
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