September 27 2012
自転車を盗まれ祭囃子の中
山田露結
今週、近所の社では秋祭りが行われる。「祭囃子」は歳時記では夏の祭の傍題になっているようだけど、なぜだろう。秋祭りだってぴーひゃらら、と笛、太鼓を鳴らすのだからいいような気がするのだが。神輿が出て、祭囃子も聞こえる人ごみの中で自転車を盗まれ、探し回る心細さ。「自転車泥棒」と言えば有名なイタリアの映画を思うのだけど、うんと小さいころに見たので記憶はおぼろげで雑踏の中で自転車を探してさまようシーンしか思い浮かばない。掲句は「故郷」と題された八句のうちの一句。「海沿いの小さな田舎町に住んでいる。田舎町だからといつて純朴な人たちばかりが暮らしているというわけはない。ここでもやはり人は傲慢で強欲で怠惰で憂鬱で、それゆえに美しいのである」と作者の言葉がある。この句もかの映画のワンシーンのような味わいがある。「彼方からの手紙」(vol.5・2012/8/18)所載。(三宅やよい)
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