渋い句。みづうみと盆と老を並べたところであらかた想像できる類型的な俳諧趣味を胸乳で見事に裏切り人間臭い一句となった。老と盆は近しい関係。なぜなら老はもうすぐ彼岸にいく定めだから。その老についている乳房は子供を産んで育てた痕跡である。産んで老いて彼岸に行く。そんな巡りを静かに肯定している。この肯定感こそ虚子が言った極楽の文学だ。『鳥道』(1981)所収。(今井 聖)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます