August 20 2012
いつとなく庇はるる身の晩夏かな
恩田秀子
口惜しいが、私の実感でもある。若い人が読めば、甘っちょろい句と受け取るかもしれない。新味のない通俗句くらいに思う若者が多いだろう。だが、この通俗が老人にはひどくこたえる。「庇(かば)はるる身」はこれから先、修復されることが絶対に無いという自覚において、苦さも苦しなのである。「晩夏」は人生の「晩年」にも通じ、盛りの過ぎた「身」を引きずりながら、なお秋から冬へと生きていかざるを得ない。そういえば、いつごろから「庇はるる身」になったのだろうかと、作者は自問し心底苦笑している。自戒しておけば、庇われることは止むを得ないにしても、慣れっこになってはいけない。庇われて当然というような顔をした老人をたまに見かけるが、あれはどうにもこうにも下品でいけません。『白露句集』(2012)所載。(清水哲男)
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