August 02 2012
馬と陛下映画の夏を通過せり
山田耕司
8月になると、また数々の戦禍の映像が繰り返しテレビで放映されることだろう。御真影、教育勅語など戦後10年を経て生れた私には遠い出来事にしか思えない。それなのに「陛下」という掲句の言葉に、天皇が白馬に騎乗しゆっくりと画面を通過してゆくシーンが立ちあがる。「陛下」「馬」「夏」という言葉の連鎖がテレビのない時代、暗い映画館で上映されただろう白黒の戦争映画を連想させる。戦争を知らない私にも沖縄の夏、原爆の夏、敗戦の夏と民族の苦しみの歴史が記憶となって残っているのは繰り返される映像があるからだろう。様々な悲劇を巻き起こした戦争。昭和史の記録として焼きつけられた戦争映画の続編がないことを願わずにはいられない。『大風呂敷』(2010)所収。(三宅やよい)
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