July 18 2012
女等昼寝ネオンの骨に蝉が鳴く
ねじめ正也
作者のことを最初に明かしてしまえば、ねじめ正一のお父さんである。もう知られているように、乾物屋さんの店主だった。(正一『高円寺純情商店街』参照)商いとはいえ暑い夏には、朝が早い人はかつてよく昼寝をしたものだ。個人商店だから「女等」と言っても、妻や女店員だろう。せいぜい二人くらいだと思われるけれど、商店街のお隣もお向かいも同じように女性たちが、ごろりと束の間の昼寝をむさぼっているのかもしれない。昼間のネオンは用無しで間抜けである。「ネオンの骨」という見立てがおもしろい。その支柱にとまっている蝉がやおら鳴き出したけれども、女たちは起きそうもないし、主人も起こさない。主人である作者は女たちと蝉の声を気にしながら、店番をしながらぽつねんとしているのだろう。夏の昼下がりの商店街の無聊が、のんびりと感じられてくるようだ。昼寝と白昼のネオン、しばし手持ち無沙汰の主人……蝉の声も、どこかしらのんびりとしか聞こえてこない。正也のただ一冊の句集『蠅取リボン』は正一ら子どもたちからのプレゼントだった。清水哲男編『「家族の俳句」歳時記』(2003)所載。(八木忠栄)
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