July 05 2012
親殺し子殺しの空しんと澄み
真鍋呉夫
先月の5日、真鍋呉夫氏が亡くなった。文庫版の句集しか読んだことはないが、俳壇の中にある俳人とは違う時空を広げる句に心惹かれるものがあった。「親殺し」「子殺し」の記事が日々新聞にあふれている。余裕のない世間に孤立しがちな苛立ちを一番身近にいる対象にぶつけ、憎み傷つけてしまう愚かしさ。人を殺めるのは瞬間であっても、一線を越えた後の地獄は文学の中で繰り返し語られてきた。親殺し、子殺しの横行する現代、同時代を生きている誰もが多かれ少なかれ追い詰められた空気を共有している。しかし、そんな人間たちの頭上に広がる空はしんと澄みわたり人間の愚行を見下ろしているようだ。その絶景は、地球を覆う人間がことごとく滅亡した終末の空へとつながっているのかもしれない。『雪女』(1998)所収。(三宅やよい)
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