June 27 2012
朝顔の夢のゆくへやかたつむり
中里恒子
かたつむりの殻の螺旋は右巻き? 左巻き? ――大部分は右巻きだそうだ。それはともかく、かたつむりは梅雨の今頃から夏にかけて大量に発生してくる。かたつむりは可愛さが感じられても、ヌメ〜〜としていて必ずしも美しいものとは言えない。掲句は「朝顔の夢のゆくへ」という美しい表現との取り合わせによって、かたつむりにいやな印象は感じられない。それは朝顔の夢なのだろうか、かたつむりの夢なのだろうか、はたまた人が見ている夢なのだろうか。螺旋状の珍しい夢だったかもしれないけれど、どんな内容の夢だったのだろうか。そこいらの解釈は「こうだ!」と声高に決めつけてしまっては、かえって野暮というもの。ついでに「朝顔」(秋)と「かたつむり」(夏)の季重なり、そんなことにこだわるのも野暮というものでげしょう。文人による俳句は、そういうことにあまりこだわらないところがいい。恒子は横光利一、永井龍男等の「十日会」で俳句を詠んでいた。他に「花途絶えそこより暗くなりにけり」「法師蝉なにごともなく晴れつづく」などがある。(『文人俳句歳時記』)(1969)所載。(八木忠栄)
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