June 14 2012
ままこのしりぬぐひきつねのかみそりと
西野文代
植物の固有名詞をならべただけなのにまるでお話のようだ。「ままこのしりぬぐい」はタデ科の一年草で、先っちょを紅く染めた小花が固まって咲いていると植物図鑑にはある。道端で通り過ぎても言い当てることはできそうにないが、どうしてこんな面白い名前がついているのだろう。きつねのかみそりは飯島晴子の「きつねのかみそり一人前と思ふなよ」が有名。こちらはどこかの木の茂みでホンモノを見たことがあるが、地面からひょろっと花が突き出た特異な姿だった。有毒植物ということで、こんな名前がついているのだろうか。二つ並べると「ままこの尻」、の柔らかさと、「キツネとかみそり」の配列に危うさと痛さが感じられる。嘱目で作った句かもしれないが、取り合わせた言葉が呼び寄せる不思議な世界を直観的に感じとるセンスがないとこんな句は出来ないだろう。『それはもう』(2002)所収。(三宅やよい)
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