関東地方の入梅まであと二週間足らず。空気が湿ってきたような。(哲




20120528句(前日までの二句を含む)

May 2852012

 ビールないビールがない信じられない

                           関根誠子

えっ、そりゃ大変だ。どうしよう。ビール好きだから、ビールの句にはすぐに目が行く。たしかに買っておいたはずのビールが、「さあ、飲みましょう」と冷蔵庫を開けてみたら、見当たらない。そんなはずはないと、もう一度奥のほうまで確かめてみるが、影も形もない。そんな馬鹿な……。どうしたんだろう、信じられない。作者の狼狽ぶりがよくわかる。同情する。ビールという飲み物は、飲みたいと思ったときに、冷たいのをすぐに飲めなければ意味がない。精神的な即効性が要求される。そんなビールの本性を、この句はまことに的確に捉えている。「酒ない酒がない…」では、単なるアル中の愚痴にしかならないが、ビールだからこその微苦笑的ポエジーがにじみ出てくる佳句だ。念のためにいま我が家の冷蔵庫をのぞいたら、ちゃんとビールが鎮座していた。あれが今宵、まさか消えてしまうなんてことはないだろうね。『季語きらり100 四季を楽しむ』(2012)所載。(清水哲男)




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