iPadで本を読むようになってから、紙の本を読むのが辛くなった。(哲




20120508句(前日までの二句を含む)

May 0852012

 銀河系語る泉にたとえつつ

                           神野紗希

人的な好みもあろうが、専門分野を簡潔に説明でき、明快な比喩を扱える人に出会うと、憧れと尊敬でぽーっとなってしまう。広辞苑で「銀河系」をひくと「太陽を含む二千億個の恒星とガスや塵などの星間物質から成る直径約十五万光年の天体」とあり、その数字に圧倒される。やさしく分りやすい信条の新明解国語辞典でも広辞苑の説明に追加して「肉眼で見える天体の大部分がこれに含まれる」とあって、そこからは「だからもうそこらじゅう全部銀河系だってことなんですっ」という開き直ったような困惑ぶりが見てとれる。数字が大きければ大きいほど、現実から遠ざかる。人間が瞬時に把握できる数は7という説があるが、それをはるかに超えた千億個などという途方もないものは数という親しみやすい存在から逸脱している。掲句のこんこんと湧く泉に例えられたことで、堅苦しく数字がひしめいていた銀河系が、途端に瑞々しい空間へと変貌し、たっぷりとした宇宙に漂う心地となる。〈起立礼着席青葉風過ぎた〉〈寂しいと言い私を蔦にせよ〉『光まみれの蜂』(2012)所収。(土肥あき子)




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