April 10 2012
猫の子の目が何か見ておとなしき
喜田進次
開いたばかりの猫の目は、どんな猫でもみんな濃いブルーである。「キトン(子猫)ブルー」と名付けられる深い青色は一ヶ月ほどかけて薄れ、本来の瞳の色になっていく。虹彩に色素が定着していないことが理由らしいが、この吸い込まれるような青い瞳にはもっとロマンチックなストーリーを重ねたくなる。しきりに鳴き続けた子猫がふとなにかを見つめ静かになったという掲句。『メアリー・ポピンズ』に赤ん坊は日の光、風、樹、小鳥、星のどれもが話しかけてくれた日々を、人間の言葉を覚えるとともに忘れてしまう、とムクドリが嘆く話しがあった。驚きやすい子猫をうっとりとなだめたものは、綾なす春の日差しか、きらめく木漏れ日か、人間の大人には見えないなにかが確かにそこにはあったのだろう。『進次』(2012)所収。(土肥あき子)
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