あんぱんの日。このところ食べたくなる日が多い。粒餡に限る。(哲




20120404句(前日までの二句を含む)

April 0442012

 春昼や細く脱がれて女靴

                           永井龍男

かにも龍男らしいこまやかな目のつけどころに、感服するほかない。きれいでスマートな女靴が、掃除のゆき届いた玄関にきちんと脱いである。素直な着眼が気持ち良いし、少しもむずかしい句ではない。また、ここは「春昼」がぴったり決まっていて、「細(ほそ)く脱がれて」にさりげないうまさが感じられる。「小さく」ではなく「細く」にリアリティーがある。なかなかこうは詠えない。靴を脱いだ女性の物腰から品格までが、快く想像されるではないか。足ばかりでかくてドタ靴専門の当方などは、身の置きどころに困ってしまう名句である。脱線ついでに……当方がよく見る靴探しの夢がある。何かの集会に参加して、さて、帰る時になって気に入っている自分の靴を探すけれども、脱ぎ捨てられたおびただしい靴のどこをどう探しても見つからず、困り果てているという夢。これ、何のタタリなのか! 同じような夢に悩まされる御仁は、ござらぬか? 龍男の春の句には「あたたかに江の島電車めぐりくる」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)




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