March 29 2012
陽炎の広場に白い召使
冬野 虹
陽炎は春のうららかな陽射しに暖められた空気に光が不規則に屈折したためにおこる現象。「召使」という言葉から考えるとこの場所は駅前広場や公園のやや広い芝生といった日本の風景ではなく、ヨーロッパの街の中心部にある広場に思える。城壁に囲まれた中世の街の中心部にある広場は時に処刑や祭りが催された政治的中心地。強固な石造りの建築物や石畳だからこそ、その揺らぎは見るものの不安をかきたてる。その凝視が、「白い召使」といった不思議な形容を生み出したのだろうか。あるようでない、いないようでいる。陽炎を媒介に日常を突き抜ける作者の視線が幻想的な世界を作り出している。『雪予報』(1988)所収。(三宅やよい)
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