March 09 2012
畦焼の祖父が火入れの責を負ふ
谷口智行
鳥取県米子市に住んでいたときの公舎の前は自衛隊の演習地だった。別に柵があったわけでもなく、向かいの家々までは霞むほどの距離があった。ときどき火炎放射器の実演などもあったから今から思うと危険な野原だった。春に父が庭に放った火が演習地に燃え移り父が叫びながら走り回り消防車まで来た記憶がある。野焼、畦焼はかくのごとく危険なものであるということを実感したのである。「祖父」は風の向きや強さなどを計算に入れながら火を入れるのだろう。煙の匂いなどもただ茫々と懐かしい限りである。『日の乱舞物語の闇』(2010)所収。(今井 聖)
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