February 13 2012
佐保姫のときどき白き平手打
嵯峨根鈴子
佐保姫(さほひめ)は、秋の竜田姫と対になる春のシンボル。春の野山の造化をつかさどる女神である。いつもおだやかで上品に振る舞っている佐保姫が、何にそんなに怒ったのか、ときに突然平手打ちをくわせるというのだから、びっくりしてしまう。これはつまり、おだやかなはずの春という季節が、ときどき思いがけない悪天候に見舞われるということだ。「白き平手打」というのだから雪、それも激しい雪を暗示しているのだろう。今年の佐保姫はまだ登場したばかりだが、ご乱心にもほどがあると言いたいくらいに、最初から平手打ちの連続である。このぶんでは満開の桜にも雪をもたらしかねない勢いだ。十年か二十年に一度くらいは桜に雪の現象は起きるけれど、佐保姫さま、今年はこのあたりでお怒りを鎮めていただいて、どうかおだやかで温暖な春の日々をお恵みくださいますように。『ファウルボール』(2011)所収。(清水哲男)
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