今日の東京地方は日が射すが、雪も降るというややこしい予報。(哲




20120123句(前日までの二句を含む)

January 2312012

 巻いてもらふ長マフラーの軸となり

                           藤田直子

マフラーで思い出すのは、イギリス映画『マダムと泥棒』(1955)に出てくるアレック・ギネスだ。彼は自称音楽家のふれこみで人の良い老未亡人宅に仲間と下宿するのだが、実は強盗団の首魁である。いつもきちんとスーツを着込み、しかし何故か首に一巻きしただけのマフラーは膝下くらいまでの長さがあり、それをいつもだらりと下げたまま行動している。男だから、まあこんな巻き方でもよいのかもしれないが、女性となるとそうもいくまい。巻くときに鏡があればまだしも、ないときに巻くのはかなり難しいだろう。胸の辺りで上手にまとめようとしても、両端を均一の長さに結ぶのには苦労しそうだ。句では、そんな長マフラーを誰かに結んでもらっている。そうしてもらっているうちに、なんだか自分がマフラーの軸になったようだと言っている。これはおそらく男がネクタイを結んでもらうときの感覚と似ているのだと思う。つまり、主体は巻く側にあるので、巻かれる側はあくまでも巻きやすい姿勢を保持しなければならない。要するに、軸という物体として佇立していないといけないのである。実感から生まれた句。お洒落も大変なのです。『未来図歳時記』(2009)所載。(清水哲男)




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