December 18 2011
みかん黄にふと人生はあたたかし
高田風人子
今更とは思うものの、黄色というのは実に色らしい色だなと思うのです。見ていて決していやな感じはしないし、この句にあるように、あたたかなものを与えてもらったような気持ちになります。冬の夜に、ゆったりとコタツに入ってしまったら、ついミカンに手が伸びてしまうし、ひとつ食べたらきりもなく食べてしまいます。生きてゆくための食物とは違ったところで、精神のすみずみまで水分を補給してくれているような果物。あるいは、日々の諸事に目減りしてくる幸せを、いくばくかは回復してくれそうな、とてもありがたいものなのだなと、この句を読んで実感するわけです。『日本大歳時記 冬』(1971・講談社)所載。(松下育男)
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