December 15 2011
雪晴の額にもうひとつのまなこ
しなだしん
昔読んだ手塚治虫のマンガ『三つ目がとおる』を思い出した。普段はぼんやりして泣き虫、額に大きなばんそうこうを貼った主人公がばりっとばんそうこうをはがしてもう一つの目が出現するや、不思議な魔力を発揮する話だった。どんよりと雲が垂れこめて降り続いた雪がやむと青く晴れ渡った天気になる。真っ白な雪に覆われた景色のただ中にいると普段は見えないものが遠くまで見通せるような気持ちになる。目はもともと脳の一部が変質したものという説があるが、視覚的な景色をとらえる目とは異質なものを感知する目が額にあるのかもしれない。「もうひとつのまなこ」は雪晴の冷たく透き通った空気を額に感知しての比喩的表現だろうが、そんな日には前髪でかくされた眼が現れる非現実も違和感なく受け取れる。『隼の胸』(2011)所収。(三宅やよい)
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