November 15 2011
ほどけゆく手紙の中の焚火かな
西原天気
焚火には炎の色と心地よい火の爆ぜる音が重なり、どこか湧き立つ思いになるものだ。なにもかも燃やしておしまい、という豪快な気持ちも焚火の本意だろう。しかし、掲句は焚火のなかの手紙に注目している。手紙だけをまとめて焼いているのか、その他のものと同時に焼いているなかで手紙をクローズアップしているのか。どちらにしても木片と違い、紙が燃えるときに音は出ない。しずしずと縮まりながら炭化していく。掲句は「ほどけゆく」としたことで、封筒から手紙へと火が移り、ひもといていくような時間があらわれている。炎は束になった紙をほどき、文章はばらばらの文字の集まりとなり、そしてひと文字ひと文字をしずかに浸食していく。ついさっきまで文字だった煙が、冬の空へと吸い込まれていく。『けむり』(2011)所収。(土肥あき子)
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