November 08 2011
冬うらら足し算だけの練習帳
長谷川槙子
大人になれば目を閉じても書ける数字も、小さい頃は4も8も難しかった。反対向きやら横になってしまうものやら、今となってはふざけているとしか思えない不思議な間違いを繰り返す。私は左効きの矯正のせいか、鏡文字を書いてずいぶん親を悩ませたようだ。「また反対」と言われ続けると、混乱してなにがどう反対なのかがわからなくなってくる。それでもいつのまにか数字もひらがなも間違わなくなったのは、単に正しく書くことに慣れただけのような気がする。掲句ではきっと習いたての大きな数字が不格好に並んでいるのだろう。足し算は小学校一年生の算数の始まりである。例題を見てみると「お母さんからみかんを2つもらいました。お兄さんからも3つもらいました」。そうそう、足し算はいつでももらってばかり。引かれたり、掛けたり、よもや割ることまで控えていようとは思いもよらない時代が存在していたことを、日だまりのあたたかさで思い出している。『槙』(2011)所収。(土肥あき子)
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