October 27 2011
手に持ちて葡萄は雨の重さかな
北川あい沙
薄緑のマスカット、紫のデラウェイ、深い藍色のピオ―ネ、青紫のベリーA、様々な種類の葡萄が店先に並んでいる。葡萄はたとえ国内産であっても、遠いところからやってきた異国の果物という感じがする。口に含んでつるりと冷たい実が舌に滑り落ちる。大きな雨粒があれば葡萄のように優しい味がするだろうか。雨に重さがあるとするなら、明るくて軽い春雨は赤いイチゴ。しとしと冷たい秋雨は少し持ち重りする紫の葡萄。というところだろう。見えない雨の重さを身近な果物に仮託することで、しとしと降り続ける陰気な雨も好ましく思われる。今日は朝から雨が降っているけど、このような句と出会うとどんよりした気持ちが明るくなる。『風鈴』(2011)所収。(三宅やよい)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|