反格差運動が世界に広がってきた。人間よりカネが大事の世の中。(哲




20111017句(前日までの二句を含む)

October 17102011

 十月の雨のぱらつく外野席

                           西原天気

球観戦だ。他の月の野球ではなくて、「十月」のそれである。つまり、ペナントレースの順位争いもおおかた決着がつき、作者はいわゆる消化試合を観ている。ゲームは盛り上がりに欠け、観客席の人もまばら。おまけに雨までがぱらぱらと降ってきた。なんともしょんぼりとした光景だが、野球ファンにとってはこの寂しさにもまた、捨て難い味がある。1975年10月、熱狂的な巨人ファンだった私は、後楽園球場で最終戦を観た。長嶋新監督率いるジャイアンツは首位の広島に30ゲーム近くも離されて、既に球団初の最下位が決まっていた。ウイークデーにして小雨のデーゲーム、観客は3000人もいなかったと思う。いっしょに行った友人と「きょう来ているのが本当の巨人ファンだよな」と言いながらも、やはりやる気の無い選手たちの試合ぶりはつまらなかった。集まった観客の期待はみな、試合後に長嶋がなんと挨拶するのかに集まっていて、試合後のグラウンドに監督コーチ以下選手たちが一列に並んだときに、その日はじめて拍手がわいたのだった。だが期待は見事に裏切られ、長嶋は一言も発せずにぺこりとお辞儀をしただけでさっさと引き揚げてしまったのである。雨の中に取り残されたファンは一瞬ぽかんとし、次には口々に怒号をあげていた。「長嶋、出て来い、何とか言え」。あれほどに空しい観戦はなかった。この句の作者は、具体的にはどんな空しさを覚えたのだろうか。『けむり』(2011)所収。(清水哲男)




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