October 16 2011
地と水と人をわかちて秋日澄む
飯田蛇笏
3月11日の大震災を経験したのちに読んでみると、それまでとは違った感想を持ってしまう句があります。むろん、句そのものに違いはないわけで、あくまでも受け取り方の問題なのですが。本日の句も、単に大地と水がくっきりと分かれて見えると詠っているだけなのですが、どうしても陸地と海の境目のところに、思いは及んでしまいます。それはともかく、この句がすごいなと思えるのは、人を、地と水に並置しているところです。秋空の下、空気をどしどし押しのけるようにして歩いている人の姿が見えてくるようです。悩みとか感情とか屈託とか、そんなものはもともと大したものではなく、ここにこうしてあること自体が大切なことなのだと、あらためて教えてくれているようです。『日本大歳時記 秋』(1971・講談社) 所載。(松下育男)
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