October 10 2011
折りかへすマラソンに散る柳かな
阿波野青畝
本格的なフルマラソンというよりも、市民運動会などの距離の短いマラソンのようである。ランナーは懸命に走っているのだろうが、折り返し点の柳が目に入るくらいだから、どこかのんびりとした雰囲気を漂わせたマラソンだ。早くも疲れた表情の走者たちがひとり、またひとりと、間隔を開けて折り返してゆく。次の走者が到着するまで、所在なく風景に目をやっていると、柳の葉がはらりはらりと散っているのに気がついた。いまは秋たけなわの候だが、そこに散ってゆく柳を認めると、この良い季節もまもなく去っていくんだなあという感慨が湧いてくる。深読みをしておけば、マラソンに挑むほどに元気いっぱいの人の盛りの人生も、すでに亡びの様相を兆しつつあるということか……。今日は体育の日。私の住む三鷹市でも市民運動会があるので、カメラを持ってのぞきに行こうと思っている。『花の歳時記・秋』(2004・講談社)所載。(清水哲男)
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