October 04 2011
四つ折りの身の濡れてゐる秋の蛇
山崎祐子
手紙などで四つ折りといえば、十文字に四分割することだが、こと蛇の場合にはその名の通り蛇腹折りになっている姿だろう。山折りと谷折りを繰り返すかたちを「蛇腹」と名付けた感覚の生々しさにあらためて脱帽するが、掲句はあえて「四つ折り」と形容したことで、濡れた蛇の身体に大きな折り目が生まれ、光沢が加わった。そして「身」といわれれば、四肢もなく首や腰などのくびれもない蛇にとって、どこもくまなく身以外のなにものでもなく、頭といってどこまで頭か、尾といってどこからが尾か、など異様な容姿へと思いは至る。とはいえ、空に架かる虹が天と地を結ぶ蛇の姿と見なされていたり、稲光りが美しい白蛇に変わったり、古来よりたびたび神の使いとされる生きものであることも、現実の姿に一層の妖しい力を与えている。蛇はまるで儀式のように、夜露で浄められた身を丁寧に四つにたたみ、冬眠のその時を迎えるための準備を整える。「りいの」(2011年2月号)所載。(土肥あき子)
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