September 08 2011
戀の數ほど新米を零しけり
島田牙城
新米は美しい、新米はぬくい、新米は水気たっぷりで、一粒一粒が光っている。田舎で採れた新米を汲みあげたばかりの井戸の水で炊くとどうしてこんなにうまいのだろう。炊きあがったご飯をしみじみ噛みしめたものだ。今年も新米の出回る時期になった。原発事故の起こった今年、米作農家は祈るような気持ちで米を育ててきたことだろう。掌に掬いあげた新米がきらきら指のあいだから零れてゆく。初恋をはじめとして実らなかった恋愛の数々のように。ちょっと気取った表現が「そんなにたくさん恋愛したの?」と思わず突っ込みを入れたくなるユーモラスな味わいを滲ませている。恋と新米の取り合わせが新鮮。『誤植』(2011)所収。(三宅やよい)
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