July 14 2011
ともだちの流れてこないプールかな
宮本佳世乃
大型のレジャープールにはウォータースライダーがあったり、波の打ち寄せるプールがあったり、流れるプールが中州をぐるりと取り巻いていたりする。流れる方向は一定で、ビニールボートや浮き輪につかまって流れていると自分で泳がないでもくるくる回り続けることができる。流れにとどまって待っているのに後ろからくるはずの友達が「流れてこない」。その表現に少し不吉でかすかな死の匂いが感じられるのは水の流れと「彼岸」が結びつくからか。まぶしい夏の日差しと人々の歓声に取り巻かれつつ友達を待つ時間が長く感じられる。きっと友達は「ごめん、ごめん」と言いながら全然違う方向から歩いてきて、その瞬間に不安な気持ちも消えてしまうだろう。そんなささいな出来事も俳句の言葉に書き留めると、自分にも覚えのある時間が蘇り、ことさらに意味を持って思い出されたりするのだ。『きざし』(2010)所載。(三宅やよい)
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