今夏も冷房は入れていない。午後になると、さすがに暑いです。(哲




20110706句(前日までの二句を含む)

July 0672011

 病み臥すや梅雨の満月胸の上

                           結城昌治

雨の晴れ間にのぼった満月を、病床から窓越しに発見した驚きだろうか、あるいは、梅雨明けが近い時季にのぼった満月に驚いたのだろうか。いずれにせよ梅雨のせいでしばらく塞いでいた気持ちが、満月によってパッと息を吹き返したように感じられる。しかも病床にあって、仰向けで見ている窓の彼方に出た満月を眺めている。しばし病いを忘れている。病人は胸をはだけているわけではあるまいが、痩せた胸の上に満月が位置しているように遠く眺められる。満月を気分よくとらえ、今夜は心も癒されているのだろう。清瀬の病院で療養していた昌治は石田波郷によって俳句に目覚め、のめりこんで行った。肺を病み、心臓を病んだ昌治には病中吟が多い。句集は二冊刊行しているし、俳句への造詣も深かったことは知られている。仲間と「口なし句会」を結成もした。「俳句は難解な小理屈をひねくりまわすよりも、下手でかまわない。楽しむことのほうが大事だ」と語っていた。掲句と同じ年の作に「柿食ふやすでに至福の余生かも」がある。波郷の梅雨の句に「梅雨の蝶妻来つつあるやもしれず」がある。第一句集『歳月』(1979)所収。(八木忠栄)




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