June 24 2011
いくたびか馬の目覚める夏野かな
福田甲子雄
この馬、どういう状態にいるのか。行軍の記憶のようでもあり、旅のイメージも感じられるし、夏野を前景として厩の中にいる馬の様子のようでもある。目覚めという言葉から加藤楸邨の代表句で墓碑にも刻まれている「落葉松はいつ目覚めても雪降りをり」が浮かぶ。手術後の絶対安静の状態で見た夢ともうつつともつかない風景というのが定説だが、僕には墓に刻まれていることもあって、楸邨が墓の中で眠っては目覚めの繰り返しを永遠に重ねているようにも思える。そういう目覚めを考えていたら、甲子雄さんの句は人に尽くしたあげく野に逝った無数の馬の霊に思えてきた。馬頭観世音の句だ。『金子兜太編・現代の俳人101』(2004)所載。(今井 聖)
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