傘がないから会社に行かない。そんな豪の者もいた昔の出版社。(哲




20110609句(前日までの二句を含む)

June 0962011

 孔雀大虐殺百科辞書以前

                           九堂夜想

字ばかりの表記。百科事典にはあらゆる分野にわたっての知識を集めこれを五十音順に配列したものだけど、昔は応接間の書棚に学校の図書館に高級そうな背表紙がずらりと並んでいるのを目にしたものだ。思えばパソコンのない昔は何かを調べるにあたってはあの重い本を棚から引き出し、項目を追い、必要な部分を書きうつしていたわけで、百科事典と言えばずっしり持ち重りする感触が思い出される。そういえば何十年も百科事典を開いていない。百科事典のもとになる百科全書が編集されたのはフランス革命の頃らしいが、「百科辞書以前」とは、人間の知識の尺度で測れない「むかし」と言った感触が込められているのだろう。人間の繁栄以前にあった孔雀の王国が何物かに虐殺されて消滅した禍々しさが感じられる。人間もやがては思いもよらぬ生物によってその終焉が語られる時が来るだろうか。こんな神話的世界が書けるのも俳句。今更ながらに俳句の懐の深さを感じさせられる。『新撰21』(2009)所載。(三宅やよい)




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