June 02 2011
あめんぼう吹いて五センチほど流す
関根誠子
夏の沼や水たまりの表面にふわふわと浮くように小さなあめんぼうがいる。よく見ればしっかりと足をふんばった水面にちいさな窪みなどできている。けなげな姿ではあるが、愛嬌があるので、ちょっとかまってみたくなる。ふうっと息をふきかけるとそのままの体勢でつつつつつ、と水面を後ずさりしてゆく。あめんぼうもさぞ面喰ったことだろう。「水馬水に跳ねて水鉄の如し」村上鬼城の句などは水に鋼の固さを感じさせることであめんぼうのかそけき動きを力強く描き出しているが、この句ではあめんぼうへ息を吹きかける子供っぽい仕草とあめんぼうの愛嬌ある反応が句の面白さを引き出している。今度あめんぼうを見かけたらふっと吹いてみよう。何センチ流れるかな。『浮力』(2011)所収。(三宅やよい)
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