May 31 2011
水飲んで鈴となりけり更衣
岡本 眸
熱いコーヒーやお茶よりも、冷たい水をおいしいと思う陽気になった。ことに猫舌でもあるので、熱いものを喉へと流すおっかなびっくり感から解放され、躊躇なくごくごく飲めるというだけでも大いなる快感である。掲句の鈴は、まさに水が喉から胃の腑に届くあたりの感触を指しているのだと思う。ころんころんと水が収まっていく。身体の真ん中からすっと涼しくなるような心地よさが、薄着となった四肢にも響いてくるようだ。制服のある学校の多くは、明日から夏服へと一新する。街に白さが際立つようになり、女の子たちの鈴を転がすような笑い声がもっとも似合う季節でもある。『流速』(1999)所収。(土肥あき子)
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