May 15 2011
語らひのいつか過去形アイスティ
鞠絵由布子
最近のテレビ番組には、芸能人が評判のお店に入って食事をするというものがずいぶんあります。気になるのは、ケーキや和菓子を食べた後での、「甘すぎなくておいしい」という誉め言葉です。甘いものが甘すぎてはいけないという感じかたは、それほど昔からあったわけではありません。いつのころからか、できるだけ薄味のものを摂取して、身体の中を薄くきれいに保つことに、努力を払う時代になっていました。本日の句に出てくるアイスティに、ガムシロップは入っていないのでしょう。「いつか」は「いつのまにか」の意味でしょうか。話をしている内に、会話の内容が自然に昔に戻ってゆく、ということは、お互いの過去を知っているということ。確かに若いころを知っている友人と、老けてしまってから知り合った友人とは、かなり意味合いが異なってきます。一緒に過去に戻ってゆける友人との会話は、それだけで充分に甘く、何杯でもおかわりできる無糖のアイスティが、似合っているようです。『角川俳句大歳時記 夏』(2006・角川書店)所載。(松下育男)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|