April 24 2011
さまざまのこと思ひ出す桜かな
松尾芭蕉
作者が松尾芭蕉なのだから、この句はずいぶん昔に詠まれたものです。それでもと、わたしは思うのです。もしかしたらこの句は、今、この年の春に読まれるために作られたのではないのかと。100人以上の震災孤児と、一万人を超す水死者という事実に、いまだにわたしの思考は止まったままです。それにしても、桜が咲いたことにこれほど無頓着だった年を、経験したことがありません。ああ咲いているなと思い、でも思いはすぐに、もっと大切なことに移ってゆきます。できることならいつの日にか、あたりまえのなんでもない春の中で、無心に桜の花を見上げたいと願うのです。『日本名句集成』(1991・学燈社)所載。(松下育男)
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