April 15 2011
陽炎へばわれに未来のあるごとし
安土多架志
あるごとしとは、無いということだ。37歳で夭折した多架志の最晩年の句。多架志はキリスト者で、しかも神学部出ということで医者はすべてを告知していたから正確な病状を知り得たのだろう。田川飛旅子には「日が永くなるや未来のあるごとく」もあった。どちらも切実で悲観的だが、ふたりともキリスト者であったので救済を信じれば本来楽観的であるはずなのにと思われ興味深い。ことに多架志の句は明るい陽炎が背景に置かれているので余計に切迫した作者の現状が思われる。『未来』(1984)所収。(今井 聖)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|