そろそろ井の頭公園花見会の後の宴席を押さえておかねば。(哲




20110308句(前日までの二句を含む)

March 0832011

 春なれや水の厚みの中に魚

                           岩田由美

なれとは、春になったことの喜びを含む心地をいう。「春なれ」を使ったものに芭蕉の〈春なれや名もなき山の薄霞〉があるが、ここにも平凡な山にさえ春を愛でる心が動いてしまうという芭蕉の喜びを感じる。日に日に春らしくなっていくのは、花の蕾も草の芽も、なにもかも新品で揃えられていくように心楽しいものだ。川や池の水さえも、新しく入れ替えられたように、春の日差しのなかできらきらと輝いている。掲句は「水の厚み」といったところに、手触りを思わせる実感が生まれた。そしてそこに魚が泳ぐことに、命の神秘と美しさが込められた。春の喜びを詠む句は数あれど、掲句の中七から下五にかけてのリズムと風情は、一度口にしたら二度と忘れられない心地良さとなって、胸のなかを泳ぎまわる。『花束』(2010)所収。(土肥あき子)




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