January 20 2011
M列六番冬着の膝を越えて座る
榮 猿丸
競技場の座席を思うか、劇場の座席を思うかで状況はだいぶ変わってくる。天皇杯、ライスボール、全国大学ラグビー、一月は見ごたえのある試合が目白押し。そういえば冬の競技場の雰囲気はナイターと雰囲気が違うなぁ。掲句を読んで思った。座席が狭くて、「すみません、すみません」と膝を脇へよけてもらいながら自分の席に座る状況はいっしょだが、ナイターの場合はひょいひょいと軽快に越えてゆく感じ。カクテル光線に照らし出された球場のざわめきも冬の競技場のそれとは違う。冬着の膝なんてまわりくどい言い方をせずに「着ぶくれ」という季語があるじゃないか、と見る向きもあろうが、季語はときには現実世界を大雑把にくるんでしまう。着ぶくれは上半身にポイントが置かれ、脚の動きは置き去りにされる感じ。字余りを押して書かれた座席番号と冬着の膝に微妙なニュアンスが感じられる。『超新撰21』(2010)所収。(三宅やよい)
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