January 08 2011
子の祈り意外に長き初詣
小川龍雄
子供の頃の初詣の記憶は定かでない。近所のお稲荷さんにちょこちょこ手を合わせていたことは覚えているが、思い出すのは狐の顔と首に巻かれた赤い布が恐かったことぐらいだ。それはきっと、初詣といっても言われるままに形だけ手を合わせ、わけも分からず頭を下げていたからだろう。お願い事をする、というのは良くも悪くも欲が生まれるということで、成長のひとつといえる。この句の「子」は成人男子、父と二人の初詣か。家族の健康と仕事の事少々、くらいを願って顔を上げた父は、目を閉じてじっと手を合わせている息子の横顔をしばし眺めている。願うというよりは祈るような真剣なその横顔に、一人前の男を感じている父。意外に、という主観的な言葉には、父親としての感慨と同時にいくばくかの照れが感じられてほほえましくもある。同人誌『YUKI』(2010年冬号)所載。(今井肖子)
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