January 06 2011
鏡餅真ッ赤な舌をかくしけり
鳥居真里子
はや六日となり正月気分もだいぶ薄らいだ。そうとは言っても部屋を見渡せば、お飾りも鏡餅もそのまま残されている。掲句の鏡餅はパックに入った小さなのではなく、床の間に飾る本格的で立派なものが似合いだ。田舎では蒸してつきあがったアツアツの餅の塊から、まず鏡餅の上下を作った。丸餅を丸める要領で熱いうちに一気に成型しないときれいな形に仕上がらない。飾り方もいろいろあるのだろうけど、うちでは白木の三方の上に裏白を敷いてのせ、上下の餅の間に昆布を挟み込んでいた。真白なモチのどこから掲句の奇想が湧いてくるのか不思議だけど、新年を寿ぐ鏡餅の類想、類句とは無縁だろう。この場合鏡餅と舌の連想をつなぐものは垂れた昆布あたりかもしれぬが、「真ッ赤」の形容にめでたさの裏に隠れた悪意や怖さが感じられる。真赤な舌を隠したまま素知らぬふりで正月の主役を務めていた鏡餅も割られておぜんざいになる日も近い。『月の茗荷』(2008)所収。(三宅やよい)
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