January 04 2011
初鴉わが散策を待ちゐたり
相生垣瓜人
黒くて大きな鴉は、その頭の良さに狡猾を感じさせるところもあり、多くの人に嫌悪される傾向にある。一方、「初鴉」が季語にもなっている由縁は、日常における迷惑な鳥という姿以外に、古くから神の使者としての役割りも担っている。烏信仰として知られる熊野三山の各大社で配布される神札は鴉が絵文字となっており、現在でも護符として使用され、神とのつながりを保っている。掲句はいつもの散策コースに必ずいる鴉が今日は特別な初鴉となって作者の前に現れたのである。一年のほとんどを嫌われ者として過ごす鴉だが、このときだけは堂々と吉兆の象徴として、そのつややかな黒い姿もどことなく神々しく見えてくるから不思議である。歳時記で見られる初鴉、初雀、初鳩。人間の生活とともに繁殖してきた鳥たちへの役どころはどれも清々しく好ましい。『相生垣瓜人全句集』(2006)所収。(土肥あき子)
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