January 02 2011
ノートパソコン閉づれば闇や去年今年
榮 猿丸
歳時記によると、去年今年とは、「去年と今年」という並列の意味ではなく、年の行き来のすみやかなことをいうとあります。ということは今日の句は、大晦日の夜から元旦にかけてノートパソコンで作業をしていたことになります。ノートパソコンという言葉から思いつくのは、やはりオフィスの中です。深夜の、それもその年の最後まで仕事をしているところを想像してしまいます。年末まで仕事をしていた同僚も、一人、二人と「よいお年を」の挨拶をして帰っていったなと、思いながら集中して画面に見入っていたようです。気がつけば広いオフィスは自分のところだけに電気がついていて、あとは右も左も真っ暗です。やっと終えた仕事は、年初の会議に使う資料ででもあるのでしょうか。「なんとか終わったか」と安堵して時刻を見れば、気づかぬうちにすでに新年を迎えてしまっています。ほっと一人で笑みがこぼれてきます。明かりを消して、やっと昨年と、PCが閉じられます。『超新撰21』(2010・邑書林)所載。(松下育男)
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