来週はじめに母が退院できそうだ。寒いから風邪には注意だな。(哲




20101206句(前日までの二句を含む)

December 06122010

 老人のかたちになつて水洟かむ

                           八田木枯

者八十代の句。身に沁みるなあ。若い読者からすれば「それがどうしたの」くらいの感想しか浮かばないかもしれない。しかし、老いを自覚した人間にとっては、はっとさせられるような句なのだ。水洟(みずばな)をかんでいるのは、他人ではなく作者当人である。背を丸くして、さほどの勢いもないかみ方である。誰でもそうだろうが、こういう「老人のかたち」はなかなか自覚しにくいものなのだ。周囲の目からはともかく、自分の老いを認めたくない意識も働くので、当人は自分がいかにも老人らしくふるまっていることにはなかなか気づかない。けれども何かの動作の折に、おやっという感じで気づくときが来る。「オレもトシだなあ」と「かたち」として自覚させられる。いったんそういうことに気がつくと、あとはいわば芋づる式に「そういえば…」と、生活のさまざまな場面での老いの「かたち」に気がついていくことになる。最初のうちこそなにがしかの悲哀感も伴うけれど、だんだんその「かたち」を受容し容認し、是認していく。このときに自分はまったき老人になったわけで、若い頃とは異なる所作にもどこか苦笑いのような感情とともに対応できていく。掲句は、そうした老いの機微を捉えたものだ。だから、最近の私などにはことさらに身に沁みるのである。『鏡騒』(2010)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます