米韓演習の黄海。「鏡のごとき黄海は…」という軍歌を思い出す。(哲




20101129句(前日までの二句を含む)

November 29112010

 母すこやか寒の厨に味噌の樽

                           吉田汀史

違っているかもしれないが、まだ作者の母親が元気だった頃の回想句だろう。と言うのも、このところ私の母が歩行困難になり、ヘルパーの手を借りて生活している(現在は心不全で入院中)ので、そう思ったわけだ。ふだんは気がつきもしないのだが、専業主婦である母親の健康のバロメーターは、句のように厨(台所)の状態に表れることにいまさらのように気がついたからである。母が使わなくなった台所の様子は、食器や調味料の類いに至るまでの置き場所一つにしても、どことなく違って見える。同じような配置にはなっているが、やはり母とは微妙に物の向きが異なっていたりするので、すぐに他人の手の働いた跡が感じ取れてしまう。作者はおそらくそんな体験を経た後に、味噌の樽一つの置き場所とそのたたずまいの変化の無さが、実は母親の元気な証拠であったことを発見しているのだ。寒中の味噌の樽は、見た目には当然寒々しい。が、この句のそれは、ちっとも寒々しくもないし冷え冷えともしていない。「母すこやか」の魔法が効いているのだ。『季語別 吉田汀史句集』(2010)所載。(清水哲男)




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