November 26 2010
冬の鹿に赤き包を見せてゆく
長谷川かな女
感覚の句。冬から連想されるモノクロのイメージに実際の色である赤を合わせた。つまり白と赤の対照である。食いしん坊の鹿の興味を引くような包みをみせるという「意味」ももちろん内容としてのテーマだが、それ以上に色調に対するセンスを感じさせる。70年以上も前の句なのに古さを感じさせないのは俳諧風流や花鳥諷詠的情緒といったツボに執心することなく目の前の「日常」を写し取ったからだ。そのときその瞬間の「現実」こそが普遍に到る入口である。『雨月』(1939)所収。(今井 聖)
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