今年もあと四十日。追いつめられてもいないが習性的に焦る気が。(哲




20101122句(前日までの二句を含む)

November 22112010

 オリオンや眼鏡のそばに人眠る

                           山口優夢

リオンは冬になると際立つ星座だから、季語「冬の星」に分類する。何の変哲もない情景を詠んでいるのだが、構図の取り方の巧みさが、情景に深い感情を添えている。単に枕元あたりに眼鏡を置いて眠っている人の様子なのだが、掲句では眼鏡をクローズアップすることによって、寝ている人がいかにも小さく思われるし、そのちっぽけな存在が天空のオリオン座に照らしてますます小さく見えてくる。そして、この存在の小ささが、この人へのいとおしさを呼び覚まし、ひいては人間存在一般へのそれを思わせてくれる。三好達治の二行詩「雪」(太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ……)に通じる世界と言ってよかろうが、三好よりも構図にひねりを効かせたところが作者の発見であり、その才能の並みでないところでもあるだろう。構図取りにあまり凝りすぎるとあざとくなりがちなものだけれど、それを少しも感じさせないさりげない詠み方に好感を持った。「週刊俳句」(2010年11月21日付)所載。(清水哲男)




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