すぐに読みたい本。池内紀『ことばの哲学 関口存男のこと』。(哲




20101118句(前日までの二句を含む)

November 18112010

 熊穴に入る頃か朱肉の真っ赤なり

                           笠井亞子

も穴籠りする季節になったが、その前の餌を求めて人の住むところまで降りてくるニュース後を絶たない。猛暑でどんぐりが少ないことが原因と言うが、山の近くに住んでいる人達は気が気でないだろう。東京でも奥多摩や秩父では熊と鉢合わせするかもしれず、リュックに熊よけの鈴をつけて歩いている登山者を多く見かけた。印鑑を押す時に使う朱肉は「朱と油を練り合わせ艾(もぐさ)やその他の繊維質のものに混ぜ合わせて作る。」と広辞苑にある。考えてみれば「朱肉」とは不思議な言葉だ。黒のプラスチックケースの蓋をあけるとパカッと真っ赤な朱肉が収まっている。その色の組み合わせにふっと冬籠りする熊に思いが及んだのか。ツキノワグマがくわっと開けた口の赤さは朱肉の赤さ以上に際立つことだろう。人と熊の不幸な接近を思えば「真っ赤なり」の言葉が暗示的でもある。『東京猫柳』(2008)所収。(三宅やよい)




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