20101113=20101113句

November 13112010

 朴落葉いま銀となりうらがへる

                           山口青邨

しいとはこのことか、という朴落葉を先日初めて見た。冬近い山湖のほとりで、それは落葉というよりまるで打ち上げられた魚の大群のようで、明らかに生気のない白さでことごとく裏返っていた。見上げた朴の大木には、今にも落ちてきそうな葉が揺れているのだが、どれもまだ枯れ色の混ざった黄色で、ところどころ緑が残っている。じっと見るうち、そのうちの一枚がふっと木を離れ、かさりと落葉に重なった。手にとってみると、その葉の裏はもう白くなりかけている。雨の後だったので、どの落葉も山気を含んで石のような色をしていたが、からっと晴れていたら、この句のように銀色に光るだろう。落葉になる一瞬、静かに舞うさま、落ちてなお冬日に耀く姿をゆっくり見せながら、いま、の一語が朴落葉に鮮やかな存在感を与えている。『俳句歳時記 第四版 冬』(2007・角川学芸出版)所載。(今井肖子)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます