今年もあと二ヶ月。変な気候の年だったがこれからは平穏にね。(哲




20111001句(前日までの二句を含む)

November 01112010

 蓑虫を無職と思う黙礼す

                           金原まさ子

るほどねえ。言われてみれば、蓑虫に職業があるとは思えない。どこからこういう発想が出てくるのか。作者の頭の中をのぞいてみたい気がする。でも、ここまでで感心してはいけない。このユニークな発想につけた下五の、これまたユニークなこと。黙礼するのはべつに神々しいからとかご苦労さまだとかの思いからではなく、なんとなく頭が下がったということだろう。行為としてはいささか突飛なのだが、しかしそれを読者は無理なく自然に納得できてしまうから不思議だ。そしてわいてくるのは、諧謔味というよりもペーソスを含んだ微笑のような感情だ。企んだ句ではあるとしても、企みにつきまといがちなアクの強さを感じさせないところに、作者の才質を感じる。金原さんは九十九歳だそうだが、既成の情緒などとは無縁なところがまた素晴らしい。脱帽ものである。「したしたしたした白菊へ神の尿」「片仮名でススキと書けばイタチ来て」『遊戯の家』(2010)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます