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September 3092010

 どこまでも雨の背高泡立草

                           小西昭夫

かし国鉄と呼んでいた頃、線路脇に延々とこの雑草が茂っていた。濁った黄色の花を三角に突き立てる姿は、荒々しいばかりでちっとも好きじゃなかった。戦後進駐軍が持ち込み、爆発的に広がったという話を耳にしたことがある。今住んでいる関東近辺ではあまり見かけないが、他ではどうなのだろう。カタカナの語感で呼びならしていたこの雑草も漢字で書くと、猛々しさが消え淡く優しい秋草の雰囲気を醸し出すようだ。「どこまでも」が降り続く雨と群生する植物の両方にかかりあてどない寂しさを感じさせる。「背高泡立草」は降りしきる雨に人の群れのように立ちつくしているのだろう。それにしても晴れれば照りつけ、降ればどしゃ降りの最近の天候には可憐な表記ではなく「セイタカアワダチソウ」が似合いかもしれない。『小西昭夫句集』(2010)所収。(三宅やよい)




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